ボクの名前はフローラ。
フローラは女の子につける名前。
ボクは男の子だけど、大好きなアウレリアがつけてくれた名前だから気に入ってる。
アウレリアはとてもきれいな女の子にゃの。
黒い髪は艶々してて、ボクの白い毛並みとは全然違う。
ボクの目は左右で違う色らしいんだけど、自分では見てないからわからにゃい。
でもアウレリアの目はすごく綺麗な蒼色をしてる。
まるで夜のお空みたいな色なんだ。
ボクはアウレリアと一緒のベッドで寝てる。
アウレリアは魔法学院っていうところに通っているから、昼間はいない。
その間、ボクはお昼寝してアウレリアの帰りを待ってるにゃ。
「ただいま~。」
あっ、アウレリアが帰ってきた。
「にゃ~。」
おかえり。
普段のボクは普通の白猫だ。
でも、アウレリアが魔力を込めて名前を呼んでくれると、人間の言葉も喋れるようになる。
魔猫っていう生き物なんだって。アウレリアが言ってた。
「フローラ、くすぐったいわ。」
ボクはいつの間にかママにするみたいに、アウレリアに甘えていた。
アウレリアの足に体をすりすりさせると、とっても落ち着くんだ。
アウレリアの足はとっても白くてすべすべで、気持ちがいいんだにゃ。
ついついすりすりしても仕方ないよね。
「にゃ~ん。」
ボクが甘えた声で鳴いたら、アウレリアはいつも美味しいおやつをくれる。
今日のおやつは何かにゃ~?
アウレリアは台所へ行った。
ボクも急いで後をついて行く。
アウレリアはお皿を出して、おやつをくれた。
かつおぶしだ!
「うにゃにゃ~ん♪」
ボクは夢中でいい匂いのするかつおぶしを食べた。
かつおぶしっていうのはお魚をかちんかちんになるまで干して、熟成させたものらしい。
ボクはそのかつおぶしをうす~くけずったのが、だ~い好きにゃ。
むしゃむしゃと食べるとすぐに無くなっちゃった。
「にゃ~にゃ~。」
もっと。もっと。
「あら、まだ欲しいの?」
アウレリアは猫の言葉はわからないけど、魔力のおかげでなんとなく言いたいことがわかるみたい。
もっとちょうだい。おいし~の。
「うにゃ~。」
「ダメよ。これはあんまり食べすぎると、病気になっちゃうの。」
「にゃー!」
なんですと~! こんなにおいしいのに、病気になっちゃうのか~。
でも、本当に美味しいんだよにゃ~。
もうちょっと欲しいにゃ~。
「にゃ~お。」
「だーめ。夕ご飯に美味しいお肉を用意してあげるから、我慢してね。」
おにく~! ボクはおにくもだ~い好き。
おにく~♪ おにく~♪
「にゃうぅ~ん。」
ボクは我慢することにした。
「じゃあこっちにいらっしゃい。代わりにブラシをかけてあげる。」
「にゃ~。」
ボクはブラシをかけてもらうのもだ~い好き。
自分でなめなめしても届かない場所を、ブラシでごしごししてもらうと本当にきもちいいんだよ~。
ボクは外のテラスに行くアウレリアの後をついて行った。
テラスの冷たい石の上も、とっても気持ちいいんだ。
ごろんって横になると、アウレリアがブラシをかけてくれる。
あ、そこそこ~。もっと~。
思わずのどがぐるぐる鳴っちゃうの。
「ぐるぐるぐる~。」
「そんなに気持ちいいの?」
「にゃ~ん♪」
「そう。フローラは可愛いからいつもきれいにしておかないとね。」
「んにゃ。」
可愛いよりかっこいい大人になりたいんだけどにゃ~。
でも、アウレリアと一緒に居られるならそれだけで幸せなのにゃ。