辺境伯の娘(完結)

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42. エピローグ

葬儀の手配を終え、ナディアはぼうっと部屋に佇んでいた。クラウディオの世話は侍女が面倒を見てくれている。気丈に振る舞うナディアをフロレンシオが抱きしめた。「大丈夫か?」「ああ、……多分」顔色の悪いナディアを見咎めたフロレンシオはナディアの頬を...
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41. 父との別れ

クラウディオはすくすくと成長し、三か月に差し掛かろうとしていた。ナディアもフロレンシオに執務を任せて、自ら母乳を与えてクラウディオの育児に専念している。フロレンシオも執務の合間にはクラウディオの様子をしょっちゅう見に来ては、ナディアに追い返...
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40. 出産

季節は冬から春へとめまぐるしく移り変わり、夏へと差し掛かろうとしていた。ナディアのお腹の子供も順調に大きくなっていた。仲睦まじく過ごす夫婦は、臨月間近となっても一緒のベッドで休んでいた。お腹がせり出し、仰向けに眠れなくなったナディアは、横を...
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39. 決着

ナディアの宣言通り、代官の悪事についての裁判が開廷した。二人の代官と盗賊の頭が被告席に並んだ。自分達の無実を証明しようと口を開こうとした代官は、次々と示される証拠にその口を閉じた。「俺たちにアストーリとカザーレを通りかかる旅人を襲う様に命じ...
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38. 捕縛

「それで、フロルはどうして戻ってきたんだ?オスバルドと一緒ではなかったのか?」「いや、……その、おいてきた」フロレンシオはばつが悪そうに任務を放り出してきたことを告白した。「フ~ロ~ル~。あれほど気をつけてと言ったのに~」「とりあえず、一小...
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37. フロレンシオの帰郷

「カザーレの街は花の栽培が主な産業なんだ。だからヴィットーレはそれを見せつけるように、いつも花から抽出した香水を振りまいている。花の匂いがする男なんてこの辺じゃあいつ位だ」団長の言葉にフロレンシオには嫌な予感が走り抜けた。顔色を変えたフロレ...
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36. 北の街で

「いったいどうなっている!」ナディアは声を荒げた。フロレンシオからの連絡は、アストーリに入る前のカザーレから途絶えたままだ。いらいらと部屋の中を歩きまわるが、何も解決しないことに気付いて、ナディアはベッドに腰を下ろした。(うっ……気持ち悪い...
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35. フロレンシオの暗躍

アストーリの街へ向かったフロレンシオはオスバルドたちと共に順調に進んでいた。フロレンシオはアストーリに向かう前に、一つ手前のカザーレの街で付近の様子を調べていた。フロレンシオたちはカザーレの街で宿を取り、自衛団や酒場で商人からの話を聞くこと...
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34. フロレンシオの不在

フロレンシオは砦からオスバルドを呼び寄せた。「フロルの事を頼んだぞ。オスバルド」「わかってます、ナディア。貴女のご夫君には傷一つ付けさせませんよ」「オスバルド、それは言い過ぎだろう。それに、私も傷つけられるつもりは無い」ナディアは背伸びして...
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33. 辺境伯の不安

夕食を食べ終えた三人は娯楽室へと場所を移した。「そう言えば、こちらへ来る前にアストーリに寄って来たんだが、最近野盗がよく出没するという話を聞いたよ」ナディアは辺境でも北に位置する街の名前を耳にして、アストーリの付近を管理する代官からの報告書...
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