the Agent(完結)

国連情報局UIA(United nations Intelligence Agency)の東アジア担当部署、Section9に新しくイリヤ・高杉少尉が配属された。イリヤはSection9を束ねるアルファに一目で恋に落ちる。けれど冷酷なアルファは、なかなかイリヤにつけ入る隙を見せてくれない。

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閑話――イリヤの記憶――

「イリヤ……ごめんなさい……」それが母の最期の言葉だった。その言葉が何に対する謝罪なのかは、イリヤには今でもわからない。――私を愛することができなかったことに対する謝罪だとは思いたくない。けれど、少年期のイリヤを残して死出へと旅立つことは確...
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25. 別離と旅立ち

無事本部へと帰投したレイとイリヤはラムダを監査部へと引き渡した。「随分無茶をしたようだな」「申し訳ありません」上官としてのオメガへの報告を終えたレイは疲れを隠せずにいた。「クシーへの聴取は大体終えた。やはりキングという男の為に行動していたら...
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24. 脱出

前方からゆっくりと迫る人影の中に、レイは見覚えのある顔を見つけていた。――たしか、研究所で見かけた気がする。ほとんど他人に興味のなかった当時のレイが覚えているのは、ショウと関わりのある人物くらいだった。微かな記憶がレイの脳裏に蘇る。――確か...
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23. 急襲

目的地へと向かうX-000の機内はエンジン音がうるさく、局員たちはインカム越しに作戦の説明を受けていた。「これより作戦を開始する。目標はクシーが在籍していたアフマル学園の調査……と言いたいところだが、状況によっては戦闘の可能性がある。各自、...
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22. 侵入者の正体

レイはイリヤが見つけた侵入元のサーバの解析結果を受け取り、頭を抱えたくなった。――まさか、クシーが『赤の翼』と繋がっているとは……。けれど厳然たる事実がレイに示されている以上、調査をせざるを得ない。早速VVMに接続し、クシーの経歴、交友関係...
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21. 変化

――恋人とはどういう存在なのだろう?レイはイリヤからの申し出に戸惑っていた。これまでレイを求めてきた男たちは体が目当てだと思っていた。だから、レイも適当に付き合い、欲望を解消してきた。けれどイリヤはそれまでの男たちとは違なり、体だけでなく心...
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20. 確かめる

「レイ……レイ」「イリヤ……」うわ言のように名を呼び続けるイリヤに煽られ、レイも夢中になって口づけを返す。「っはぁ、熱……い」イリヤが触れた場所から、次々と熱が生まれていく。ふたりは互いの体にまとわりついた制服を争うように脱がせ合った。「あ...
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19. 愛と執着

「私はお前を愛してはいない。……おそらく、私には愛するということが分からない」レイのいつもの強気な様子はなりを潜め、幼子のような頼りない目でイリヤを見上げていた。「お前のうそぶく愛とはなんだ? それが執着だというのならば、私には受け入れられ...
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18. いかにして心を捕えるか

イリヤは自ら仕掛けたトラップの一つに侵入者の痕跡が残っていることに気が付いた。――よしっ! かかった。侵入者の痕跡から、逆を辿り侵入者の元へとたどり着くのは困難を極めた。侵入者は巧妙に何度もサーバを迂回しながら、幾つもの分岐を作りつつ侵入を...
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閑話――オメガの追憶 ――

私が初めてレイに出会ったのは、彼女が五歳くらいの頃だっただろうか。研究所の職員に連れられ、無機質な研究室の一角で引き合わされたレイは、固く心を閉ざしていた。私と同様に遺伝子操作を受けたレイは、受精卵の提供者の元でこれまで育てられていたが、そ...
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