Prisoner(完結)

父親の忘れ物を届けに行ったホテルで、沙耶は謎めいた中東の出身の男ユーセフと出会う。誘われるまま一夜を共にしたはずのユーセフはヘイダル王国の王子だった。攫われヘイダルへと無理やりつれていかれた沙耶は、ユーセフに組み敷かれ彼の妻とされてしまう。

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番外 砂漠へ

結婚祝いにとユーセフの父、イスハークが手配してくれたアクバル塔(フォート)への旅を沙耶はありがたく受け取った。 ユーセフはせっかくならば美しい砂漠を沙耶に見せたいと言い出し、砂漠を通り、オアシスで一泊して塔へと向かうコースを選んでいた。 沙...
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十三話

日本へはユーセフのプライベートジェットで向かうことになった。 空港で待たされることもなく、機内ではゆっくりと横になって休むこともできる。ようやくまともに意識のある状態で、沙耶は空の旅を楽しんだ。 機内に乗り込むとすぐに沙耶はアバヤを脱ぎだし...
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十二話

沙耶が目を覚ますと、辺りは薄暗かった。 起きようとして、自分を包む温もりに気付き、沙耶は動きを止めた。 「ユーセフ……」 目の前には逞しく、引き締まった裸身が横たわっている。いつもは後ろにゆるく撫でつけている髪が額にかかり、いつもよりユーセ...
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十一話

沙耶は身体を揺さぶられる感触に目を覚ました。覚醒と同時に身体の中心に熱を感じる。 (嘘……! ユーセフとまだ繋がってる?) 「……あぁ」 沙耶は自分の喉から洩れた声がかすれていることに気付く。 (そういえば、この国に来てからまともに眠れた記...
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十話 

「サーヤ、おいで」 立ちすくんだまま動こうとしない沙耶に痺れを切らしたユーセフは、沙耶の腕をつかむと強引にベッドの上に引き倒した。 「ユーセフ!」 足首につけられた鎖がしゃらしゃらと音を立てる。 沙耶の着ていたアバヤはいとも簡単に奪われ、着...
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九話

沙耶はアザーン――礼拝を呼び掛ける声――に目を覚ました。 眠気が残る目をこすりつつ、身体を起こすと、かちゃりと聞きなれない金属音に気がつく。 その音の元を探して布団をめくると、沙耶の足首には金色のアンクレットがつけられていた。 「おはようご...
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八話 

「残念だ……」 ユーセフの瞳に狂気の色が宿る。彼は沙耶の内部に差し入れた指を抜き去った。 「……ぁ」 沙耶は失った感覚に、自分の意志を無視して腰が蠢くのを感じた。 ユーセフはオイルを取り出すと手に振りかけた。甘ったるい香りが沙耶の方まで漂っ...
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七話 

沙耶は案内された部屋でソファに腰を下ろし、しばしの間考え事に耽った。傍から見ればぼうっとしているようにしか見えないだろう。 王宮は外の気温をまったく感じさせないほど空調が行き届き、涼しくひんやりとしている。沙耶がアバヤを脱ぐとひんやりと肌寒...
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六話 

(頭、イタ……) 沙耶はいったん開いた目を痛みのあまり、再び閉じた。目に飛び込むまぶしい光がズキズキと頭痛を誘う。 沙耶は異様に身体を重く感じながらも、どうにか上半身を起こした。そっと目を開けると、ぐらりと視界が回る。ふらりと倒れこみそうに...
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五話

「眠った、か……」 腕の中でぐったりと意識を失ってしまった沙耶を、ユーセフは軽々と抱き上げた。 「ハサン、準備はできているのか?」 「もちろんでございます」 ユーセフは頷いてそれに応えると、沙耶を腕に抱いて玄関に向かう。それを先導するように...
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