「レイ……レイ」
「イリヤ……」
うわ言のように名を呼び続けるイリヤに煽られ、レイも夢中になって口づけを返す。
「っはぁ、熱……い」
イリヤが触れた場所から、次々と熱が生まれていく。
ふたりは互いの体にまとわりついた制服を争うように脱がせ合った。
「ああ……、レイ」
タイトな制服の隙間から除く美しい形の足に、イリヤの目が釘付けとなる。
スカートをたくし上げ、ストッキングに包まれた足を撫で上げたイリヤは、激情のままストッキングを引き裂いた。
絹を裂くような音が部屋に響く。
「イリヤ、だめ」
「すまないがもう、我慢できない」
「あとで弁償させるぞ」
「こんなものいくらでも」
ふたりの荒い息遣いだけが聞こえていた。
足に沿って撫で上げられる感触に、レイは体を震わせる。
「っは、あぁ」
見上げると、イリヤの目は欲望にけぶり青色の瞳は色を濃くしている。
――どうして? 何が違う?
レイはショウとの経験と比較せずにはいられなかった。
「私と一緒にいるときに他の男の事を考えないでください」
「すまん」
「まだ余裕がありそうですね」
「っぁあ、ああん」
いきなり剥き出しとなった胸に吸い付かれたレイは、声が零れるのを抑えきれない。
その間もイリヤの手は休むことなく、服の隙間からレイの体に愛撫を加えていた。
「どうして……、私を愛していると……言える?」
荒い息の下で、レイはイリヤに問いかける。
「初めて会った時から気になって仕方がなかったのですよ。これほど女性に夢中になって追いかけたのは初めてです。どうしても貴女を振り向かせて、身も心も私の物にしてしまいたい。けれどそれ以上に、貴女を守りたいと思いました」
イリヤは愛撫の手を止め、レイの瞳をまっすぐに見据えた。
「私は守られる必要なんて……ない」
「勝手に私が守りたいと思うのは迷惑ですか?」
「いや……、だがなんとなく恥ずかしい」
そう言って頬を染めるレイは、凶悪なほど可愛らしい。イリヤは暴走しそうになる己を何とか抑える。
「レイが私を愛してくれなくても、今は我慢します。少しでも愛される望みがあるうちは諦めるつもりはありません」
「私がイリヤを愛しているかはわからない。……ただ、お前の側はひどく心地いい。心地よすぎて、私は自分の牙を失いそうになる。失ってしまったらきっと二度と立てなくなる」
――そうか、私は怖いのか。自分が変わってしまうことが怖いのだ。
レイはようやく恐怖の正体を悟り、少しだけ安堵する。
保護者としてのショウを失い、あらゆるものに牙を向けて弱みを晒さないように生きてきた。けれどなぜかこの男に対しては牙をむくことができない。
「人は日々変わりゆく生き物です。この一瞬後には生きていないかもしれない。だから貴女を手に入れずに後悔はしたくないのです」
「そう……だな……。私はお前が欲しい。この気持ちを何と言うのか分からないが、それだけは確かだ」
「私も貴女が欲しい。おしゃべりの時間は終わりです」
イリヤは夢中になってレイを貪り始める。
――どれほど触れても、まだ足りない。もっと、もっと、貴女が欲しい。
レイはイリヤの求愛に行動で応える。
イリヤの引き締まった体に手を這わせ、自分が餓(かつ)えているのと同じほど彼もまた自分に飢えていることを確認していく。
イリヤの腕の中でレイは燃え上がり、何もかもを忘れて貪りあった。
「レイ、私の恋人になってください」
行為を終えたあと、ふたりはゆったりとまどろみに身を任せつつ、体を寄せ合っていた。
「ふ……、恋人……か」
レイはイリヤの胸に指を滑らせた。
「お前か私が飽きるまででも構わないのであれば、いいだろう」
「本当に!?」
「ああ」
喜びも露わにイリヤはレイを抱きしめた。
「私が貴女に飽きることなどありません。ですから貴女に飽きられないように、せいぜい努力するとしましょう」
「ちょっと、待て」
再びレイの体を弄り始めた手に、思わずレイは制止の声を上げる。
「待てません」
「あ、っふ」
レイの抵抗を口づけで抑えつけて、イリヤは再びレイの体に溺れていった。

