フロレンシオはゆっくりとナディアのベールを外した。髪に挿された白百合も丁寧に抜き取り、床に散らばらせている。
ナディアの体は期待に震えた。立っていることが辛くなってきたナディアはベッドに腰を下ろした。フロレンシオは座ったナディアの脚を持ち上げると、そっと靴を脱がせる。ガーターベルトに包まれたナディアの脚をそっとなでると、その指先を口に含んだ。
「やだっ、フロル。汚い」
指先がねっとりとした熱い感触に包まれ、ナディアは背筋を震わせた。
「汚くない。今日はナディアのすべてを知りたい」
フロレンシオの舌はつま先からそのままゆっくりと足を登っていく。添えられた指と共に這い上がる感触に、ナディアはただただ溺れた。
「はぁ、フロル」
「ナディアの感じている顔を見せて」
ナディアの快感に潤んだ表情を見上げ、フロレンシオは余すところなく堪能する。ナディアは思わずフロレンシオの頭に手を伸ばした。すがる様に伸ばされた手をナディアの好きにさせたまま、フロレンシオは更にナディアの体に指を這わせた。腰から脇を撫で上げ胸にたどり着くと、ドレスの上から胸をいたぶる。
服の上から与えられるもどかしい快感に、ナディアの瞳には涙が滲んだ。
「フロル、ちゃんと……して」
「わかった」
フロレンシオの指が背中へと回り、締め上げられたドレスの紐をほどいていく。ようやくドレスから解放されたナディアは、するりとドレスを脱ぎ捨てた。下着とガーターベルト一枚の姿になったナディアはフロレンシオに抱きついて、キスを浴びせた。
「はぁ、ん、ふぅ」
ぴちゃぴちゃと舌先を絡めあう音が寝室に響いた。
頬を紅潮させ、快感に翻弄されるナディアの姿を堪能しながら、フロレンシオも次第に快感に溺れていく。既に欲望の立ち上がった下肢に、このままでは汚れてしまいそうだと気付き、フロレンシオは純白の騎士服を脱ぎ捨てた。
引き締まった筋肉質な体が露わになり、ナディアも負けじとフロレンシオの体に手を這わせた。互いに体を高め合いながら、信じられないような気持ちよさに熱い吐息をこぼす。
最後に体を繋げた時はもっと冷静だった気がするのに、こうして皆に祝福されて結ばれた今は互いの熱を伝え合うことしか考えられなかった。
フロレンシオの口が首筋を辿り、胸へと進んでいく。頂を口に含まれたとき、ナディアはそれだけで体の奥底に溜まった熱が弾け、脳裏が白い闇に塗りつぶされるような感覚に襲われた。
「ああぁ、やぁぁ」
ナディアの昇りつめる様子に、それだけでフロレンシオも達してしまいそうになる。
「相変わらず、ナディアの体は敏感だ」
胸の蕾を口に含んだまま、フロレンシオは愛撫の手を下腹へと伸ばした。達したばかりのナディアはぐったりとフロレンシオに体を預けている。
フロレンシオが金色の茂みをかき分け、花芽を探るとそこは既に蜜であふれかえっていた。ナディアの無意識の媚態に煽られたフロレンシオは、ほとんど花びらを解すことなく、寛げた下肢から取り出した剛直を蜜口にあてがった。
大きく股を割り開かれ、フロレンシオの体に覆いかぶさられたナディアは快楽の淵を忘我の境地で彷徨っていた。ゆっくりとフロレンシオの剛直が蜜口から侵入し、埋められていく。その度にナディアは体をビクビクと震わせた。
「はぁ、あ、あぁ」
「すごい、あぁ、ナディアの中は熱くてぬるぬるで、溶けてしまいそうだ」
上ずったフロレンシオの声が、彼も限界で耐えていることを伝える。ようやく圧迫感に慣れてきたナディアは、フロレンシオの首筋にしがみついて囁いた。
「フロルの好きにして」
「あぁ、だめだ。ナディア、そんな風に煽られるとっ……」
フロレンシオはもはやナディアに対する気遣いを振り払い、欲望に従って腰を動かした。強く打ち付けられる感触に、ナディアは再び体の奥に残っていた熾火のような快感が燃え上がるのを感じた。
「あ、あぁ、フロル、好きぃ」
「あぁ、うぅ、ナディアっ、愛している。愛してる」
耳元で囁かれるフロレンシオの言葉に、ナディアは再び快楽の階を登っていく。
「フロル、ああぁ、もう、おかしくなるっ!」
「いいぞ、私ももう、もたないっ」
徐々に膨れ上がった快感はフロレンシオの深い一刺しで弾ける。
「あぁぁー」
「う、くぅう、はっ」
頂点を極めたナディアの体は、フロレンシオの剛直を締め付け、搾り取る様にうねった。長い放出にフロレンシオも時折体を震わせた。
「は……ぁ」
フロレンシオはブルリと体を震わせると、勢いを失った欲望を抜き去った。
「あ……ん」
ほとんど下着を脱がされないまま、愛を交わしたナディアは息を荒げたままベッドの上で体を横たえ、息が整うのを待っていた。
けれど、再び勢いを取り戻したフロレンシオに体をうつぶせにされ、そのまま背後から覆いかぶさるように包まれる。力を失ったナディアの体は腰を支えられ、お尻を高くつきだすような格好にされた。
「フロ……ル、待っ……て」
「待てない」
フロレンシオは背後からナディアを貫いた。
「ああぁっ!」
再び突き刺された熱い楔に、ナディアはわけのわからないまま翻弄されていた。フロレンシオがナディアの腰をつかみ自らの腰を打ち付けると、治まったと思った快楽の炎が勢いを取り戻していく。
ナディアは快楽の炎の渦に巻き込まれ、朦朧とする意識の中で嬌声を上げ続けた。