27. 未来の辺境伯の夫

「あ……」

腕の中のナディアがかすれ声を上げた。

黙ってみていると、水差しを取ろうと手を伸ばしている。

けれどフロレンシオが抱きしめている為に、ナディアの腕は水差しまで届かない。

「おはよう」

耳元で私が囁くと、ナディアは頬を染めた。

恥じらう姿も愛らしい。

「おは……よう」

酷くかすれた声が可哀そうになり、フロレンシオは水差しをつかんだ。直接口をつけて水を含むと、ナディアに口移しで飲ませる。

「ん……く」

ナディアは砂漠の砂が水を吸い込むように、水を素早く飲み込んだ。

「もっと」

少しましになった声が水を催促する。

可愛らしいおねだりに、フロレンシオは再び水を口に含んだ。自分でも顔がやにさがっていることは自覚しているが、どうにもならない。

「ふ……ん、はぁ」

何度か水を口移しでナディアに飲ますと、ナディアはようやく満足した様子で息を吐いた。

「もう、起きるから放して」

ナディアはすぐにつれないことを言う。

「今日はベッドで過ごそう」

フロレンシオはできるだけ低い声でナディアの耳元で囁き、彼女を誘惑する。

「駄目だ」

つれなく却下する彼女に、フロレンシオは無理やり彼女を組み敷いた。

「後継ぎを作るのも領主の務めだよ」

「仕事が溜まっている」

ナディアは面白くなさそうな顔で答えた。

「私も今日くらいしか休みをもらえなかったんだ。付き合ってくれてもいいだろう?」

フロレンシオの言葉にようやくナディアが頷く。口移しに水を与えただけで、熱を持ち始めている欲望がうずいた。

「ナディア、朝の光の中で見るあなたも綺麗だ」

朝の光の中では、昨夜夢中になって吸いあげた肌に散った赤い花が余すところなく見える。多く花が散る場所はフロレンシオが見つけたナディアの気持ちいい場所だ。

花びらの上をそっと指でなぞると、ナディアの体は敏感に反応を返してくる。未だ恥じらいの消えない花嫁は、明るい日の下で愛を交わすことに抵抗があるようだ。必死になって声を噛み殺そうとしている姿に、フロレンシオは一層の愛しさを覚えた。

ゆっくりと時間をかけ、ナディアの感じる部分に触れていく。フロレンシオにとっては昂ぶった剛直を早くナディアにうずめたくて仕方ないが、ナディアを気持ちよくさせてやりたい気持ちが勝る。

あまりにゆっくりとした愛撫に、ナディアの方が焦れ始めた。

「フロル、もっと……」

目じりに涙をためて懇願するナディアの様子に、フロレンシオの理性は崖っぷちに立たされていた。

「ナディア、もっと気持ち良くなって」

昨晩散々に欲望を放った場所に指を差し入れると、残滓がとろりと花びらを伝ってシーツの上に落ちた。花芽も膨らみ始め、愛撫を待つようにひくひくと動いている。

「……っやぁ、はずかしぃ」

フロレンシオはそっと花芽を擦ると、ナディアの体はあっけなく頂点を極めた。

「あ、ああぁ、ああっ……」

「ナディア、いきそうなときはちゃんと教えてって、言っただろう?」

フロレンシオが意地悪くナディアの耳元で囁くと、ナディアは震えながらも頷いた。フロレンシオによって十分にとろかされた蜜口は蜜をこぼしながら剛直を受け入れた。

じゅぷり、じゅぷりと卑猥な水音が寝室に響き渡る。

フロレンシオはナディアの腰を抱え直すと、剛直を深く挿し入れた。

「ああっ……」

子宮の入り口にまで欲望が達し、ナディアは奥底まで満たされた。今まで感じたことのない圧迫感にナディアははくはくと口を大きく空けてなんとか衝撃に耐えようとしている。その様子にフロレンシオは征服感を満たされる。

ナディア、この体も心も全て私のものだ。

フロレンシオはナディアの体を抱えて体勢を入れ替える。ナディアの体を自分の上にまたがらせると、ナディアの感じている顔がよく見える。

ナディアを何度抱いても、すぐに欲望がよみがえり再び求めてしまう。どれだけナディアを抱けばこの渇望感が薄れるのだろうか。

フロレンシオはきつく締め付けるナディアの中を擦りあげ、存分に突き上げる。

「ああっ!」

快感ににじむナディアの涙が差し込んだ朝の光を受け、キラキラと光る。上気したナディアの頬と快感に蕩けた表情にフロレンシオは更に欲望をそそられる。

フロレンシオはナディアの腰をつかんで揺さぶった。

「っは、ああん。フロル、もう、いってしまう」

「よくできました」

きちんと達しそうなことを告げたナディアを褒めると、フロレンシオは剛直を激しく突き上げた。ナディアの内部を擦り上げると、激しい収縮を繰り返し、ナディアは快楽の頂点へと昇りつめた。

ナディアがいった瞬間を満足げに眺めた後、フロレンシオも自分の欲望をナディアの内部に放つ。

欲望が脈動しながら白濁を吐き出す。フロレンシオは腰の蕩けそうな快感に大きく息をついた。

「はぁっ、ナディア、ナディアっ!」

腕の中でぐったりとしたナディアを抱きしめて、フロレンシオはようやく満足げに微笑みを浮かべた。

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