2014-06

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7. 因縁

知のフェルナンディ、武のラフォレーゼと呼ばれるほど優秀な武官と文官をそれぞれ輩出している両家は、互いの能力を認め合い、つかず離れずの距離を保っていた。しかし、ラフォレーゼ家の祖先がフェルナンディ家の娘と婚約しながら、婚約者を捨てて別の娘と駆...
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6.  再会

部屋に戻ったラファエラは、たった今明かされた事実に茫然としていた。 (私は人ではないの?) そう思ったとたんに背中にちくりと痛みが走る。 ラファエラはドレスを脱ぐと、姿見に背中を映した。確かに背中の肩甲骨のあたりに羽のような形をしたあざが浮...
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5. 封印を解いた者

フェルナンドはラファエラの封印を解いた者に心当たりがあった。黒鷲団に所属するラフォレーゼ一族でレオの名を持つのはレオナルド・ラフォレーゼしかいない。 フェルナンドは執務の空き時間を縫って、黒鷲団のある砦へと足を向けた。王都の入り口に築かれた...
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4. 胎動

研究所へと到着したラファエラは自分の研究室に荷物を置くと、ガブリエレの研究室の扉を叩いた。 「どうぞ」 すぐに入室の許可を告げる声にラファエラは扉を開けた。 「おはようございます」 「おはよう」 「昨日はすみませんでした」 「とりあえず、そ...
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3. 兄と妹

ガブリエレはため息をひとつ漏らすと、覚悟を決めてラファエラを抱き上げた。長身のガブリエレよりも頭二つ分ほど背の低いラファエラの体は軽かった。昼間よりもラファエラから放たれる力の波動が強くなっていることに気づいて、顔をしかめる。 (これは見過...
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2. 守り人の動揺

ガブリエレの脳裏にはめまぐるしく対策が浮かんでは消えていく。ラファエラに再び封印を施すには自分の力が足りないことは十分に自覚している。 もはや自分の手に負えないことを悟ったガブリエレの足は、気付けばと実家へと向かっていた。知のフェルナンディ...
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1.  邂逅

ラファエラはいつものように採集鞄を持って、森に出かけた。ラファエラにとって森は自分の庭のようなものだ。歩くこと小一時間、ラファエラは小さな泉が湧き出ている場所にたどり着いた。ここへ来るまでに採取した薬草や、珍しい植物で採集鞄はいっぱいになっ...
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番外 砂漠へ

結婚祝いにとユーセフの父、イスハークが手配してくれたアクバル塔(フォート)への旅を沙耶はありがたく受け取った。 ユーセフはせっかくならば美しい砂漠を沙耶に見せたいと言い出し、砂漠を通り、オアシスで一泊して塔へと向かうコースを選んでいた。 沙...
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十三話

日本へはユーセフのプライベートジェットで向かうことになった。 空港で待たされることもなく、機内ではゆっくりと横になって休むこともできる。ようやくまともに意識のある状態で、沙耶は空の旅を楽しんだ。 機内に乗り込むとすぐに沙耶はアバヤを脱ぎだし...
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十二話

沙耶が目を覚ますと、辺りは薄暗かった。 起きようとして、自分を包む温もりに気付き、沙耶は動きを止めた。 「ユーセフ……」 目の前には逞しく、引き締まった裸身が横たわっている。いつもは後ろにゆるく撫でつけている髪が額にかかり、いつもよりユーセ...
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