2014-10

Main

26. 辺境の夜

フロレンシオはゆっくりとナディアのベールを外した。髪に挿された白百合も丁寧に抜き取り、床に散らばらせている。 ナディアの体は期待に震えた。立っていることが辛くなってきたナディアはベッドに腰を下ろした。フロレンシオは座ったナディアの脚を持ち上...
Main

25. 辺境の結婚式

怒涛の勢いで結婚式にこぎつけた当日、空は二人を祝福するかのように晴れわたっていた。 母のウェディングドレスを身につけたナディアは控えの間で緊張していた。白い肘まである手袋を身につけていても手先が冷たい。 既に領主の敷地内にある礼拝堂には家人...
Main

24. アリシアとの再会

ナディアは急遽決まった結婚式の準備に奔走していた。ナディアの結婚を聞きつけた領民たちから届けられた作物やお祝いの品で屋敷は溢れかえっていた。 白百合騎士団からもアリシアが手伝いに来てくれていた。ナディアは久しぶりに顔を合わせた友人にたっぷり...
Main

23. 恋人たちのひととき

「ここがナディアの部屋か」 フロレンシオは案内されたナディアの部屋を興味深げに眺めている。 (恥ずかしいからあまり見ないで欲しい……) ナディアは飾り気のない女性らしくない部屋を恥ずかしく思い、小さくなっていた。 「どうした?」 ナディアの...
Main

22. 辺境伯と旧友の再会

「ナディアの父上にご挨拶したい」 「ああ、俺も久しぶりに会いに行こう」 フロレンシオとフェリクスの意見が一致し、ナディアは二人を連れて屋敷へと戻った。あまりに急な展開にナディアはぐったりと疲れていた。 屋敷の前ではルカスが待ち構えている。 ...
Main

21. 辺境伯の娘の婚約者

ナディアの怪我は順調に回復していた。少し足はひきずるものの、部屋で仕事ができるくらいには回復していた。熱も下がったので、ナディアは砦から自宅へと場所を移し、駐留している白百合騎士団の為の手配や、戦後の後始末に追われていた。 旧友が近くに駐留...
Main

20. 辺境伯の娘、再会する

ナディアは太腿の痛みに目を覚ました。体はだるく喉も渇いている。熱があるのか体の節々が痛んだ。窓の外を見れば、空は暗い。 私が倒れてからそれほど時間は経っていないはずだ。 ナディアが戦況を確かめる為に体を起こそうとすると、太腿に焼けるような痛...
Main

19. 辺境伯の娘、窮地に陥る

ナディアは砦で生き残った仲間たちと、再会を喜び合った。さっさと食事を済ませ明日への戦闘に備えて眠る。見張りの数名を残して辺境軍は休息を取っていた。既に剣を交えたことは伝書鳩で王都へと届けてある。しかし、こちらへ向かっているはずの王軍からの連...
Main

18. 辺境伯の娘、出陣する

ナディアが伝書鳩を飛ばしてから三日が過ぎていた。そろそろ返事があってもいい頃だが、王都からの返事は未だに届いていなかった。 その間にもナディアは着々と戦の準備を整えていた。 砦に常駐している軍医以外にも、近隣の医者に連絡をして、いつでも駆け...
Main

17. 出陣の予感

ナディアは国境の近くに築かれた砦へ到着した。砦には辺境を守る精鋭の騎士や兵士たちが揃っている。そのほとんどが父マウリシオを慕って集った者たちだ。 ナディアはマウリシオに劣らぬ采配をしなければならない重圧と戦っていた。 マウリシオの副官を長く...
error: Content is protected !!