辺境伯の娘(完結)

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22. 辺境伯と旧友の再会

「ナディアの父上にご挨拶したい」 「ああ、俺も久しぶりに会いに行こう」 フロレンシオとフェリクスの意見が一致し、ナディアは二人を連れて屋敷へと戻った。あまりに急な展開にナディアはぐったりと疲れていた。 屋敷の前ではルカスが待ち構えている。 ...
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21. 辺境伯の娘の婚約者

ナディアの怪我は順調に回復していた。少し足はひきずるものの、部屋で仕事ができるくらいには回復していた。熱も下がったので、ナディアは砦から自宅へと場所を移し、駐留している白百合騎士団の為の手配や、戦後の後始末に追われていた。 旧友が近くに駐留...
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20. 辺境伯の娘、再会する

ナディアは太腿の痛みに目を覚ました。体はだるく喉も渇いている。熱があるのか体の節々が痛んだ。窓の外を見れば、空は暗い。 私が倒れてからそれほど時間は経っていないはずだ。 ナディアが戦況を確かめる為に体を起こそうとすると、太腿に焼けるような痛...
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19. 辺境伯の娘、窮地に陥る

ナディアは砦で生き残った仲間たちと、再会を喜び合った。さっさと食事を済ませ明日への戦闘に備えて眠る。見張りの数名を残して辺境軍は休息を取っていた。既に剣を交えたことは伝書鳩で王都へと届けてある。しかし、こちらへ向かっているはずの王軍からの連...
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18. 辺境伯の娘、出陣する

ナディアが伝書鳩を飛ばしてから三日が過ぎていた。そろそろ返事があってもいい頃だが、王都からの返事は未だに届いていなかった。 その間にもナディアは着々と戦の準備を整えていた。 砦に常駐している軍医以外にも、近隣の医者に連絡をして、いつでも駆け...
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17. 出陣の予感

ナディアは国境の近くに築かれた砦へ到着した。砦には辺境を守る精鋭の騎士や兵士たちが揃っている。そのほとんどが父マウリシオを慕って集った者たちだ。 ナディアはマウリシオに劣らぬ采配をしなければならない重圧と戦っていた。 マウリシオの副官を長く...
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16. 父との対面

「放蕩娘のお帰りだ」 マウリシオはおどけた口調でナディアの帰りを出迎えた。 久しぶりに見る父の顔が記憶にあるよりもやつれていることに、ナディアは愕然とした。 「父上、本当にお加減はよろしいのですか?」 「大げさだな。大丈夫だ。お前の花嫁姿を...
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15. 家出娘、帰郷する

目を覚ましたナディアは昨夜の出来事を嵐のように思い出し、一瞬戸惑った。初心者相手にフロレンシオは容赦なく情熱を発揮し、何度も体を重ねた。窓から差し込む明かりに気付くと同時に失神するように眠りに落ちたことを思い出した。 体を起こすと、股間から...
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14. 一夜の思い出

「フロル……もしも、もしもだ、結婚前にも関わらず本当に好きな人と愛を交わしたいと言ったら失望するか?」 ナディアは縋る様にフロレンシオを見つめた。 「いいや。失望などしない。だがナディ、それでいいのか?」 ナディアが見つめたフロレンシオの瞳...
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13. 家出娘、告白する

父が倒れた知らせを聞いてから、ナディアはずっと考えていた。 (フロルがあの時の恩人ならば全てを話すべきだ。もしもそれで彼に辛い選択をさせることになっても……私の思いの全てを伝えたい) ナディアはその日の執務を終えたフロレンシオに声をかけた。...
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